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危険情報の記憶
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生物にとって最も重要な記憶は、食べ物の所在と、危険の記憶とされています。
危険な出来事に遭ったことを忘れてしまうと、次に、同じ状況に遭ったときにすばやく対応できず、生き残りに支障をきたすことがあります。生き残る確率を高めるためには、危険な状況に出遭ったことをきちんと覚えている必要があります。
危険なことをを経験すると、「感情」を伴う記憶として、そのときの状況とともに脳の中に刻まれると考えられています。「トラウマ」と呼ばれるような強い感情を伴う記憶が生じ、それが危険察知に役立ち、生物の生存を高めてきました。
人間の場合は、脳が発達しているので、自分で記憶しているだけでなく、言葉によって、仲間や子々孫々にまで危険情報を伝えていきました。これが人間の生存確率を圧倒的に高めたと言われています。
ところが、人間の場合、危険でない状況のときにまで、トラウマがフラッシュバックされて、何度も思い出されてしまうことがあり、日常生活に支障が出るほどに苦しい状況になることがあります。PTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれる状態です。