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シマウマと人間の違い
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生物の生き残りのために有益なストレス・システムが、なぜ、人間の心身を傷つけることになってしまうのでしょうか。
ロバート・サポルスキーは、『なぜシマウマは胃潰瘍にならないか』という本の中で、シマウマと人間の違いを述べています。シマウマは、ライオンに出会うとストレス反応が生じますが、ライオンから逃れて、休んでいるときや、水を飲んでいるときには、ライオンのことを忘れてしまって、平常の状態に戻ります。
ところが、人間の場合、脳の機能がすぐれているので、ライオンが去ってもライオンのことを思い出します。
ストレス反応というのは思い出しただけでも生じます。
例えば、梅干しを思い出すと、酸っぱい感じがして唾液が出てきたりしますが、それと同じような状況です。脳が発達している人間は、目の前にライオンがいないのにライオンを思い出すことで、ストレス反応が起こってしまうのです。これは、次の項目「ルミネーション(反芻)」と呼ぶ現象と関連しています。