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 ●心の多様性(ダイバーシティ)はなぜメンタルヘルスに必要?



 1 「多様性」は、リスクヘッジ戦略



 心の「多様性(ダイバーシティ)」は、ストレスのショックを和らげるのに有効です。では、なぜ、心の中の多様性を保つとショックが和らぐのでしょうか。

 これは、多様化戦略がよく用いられているビジネスの世界の例で考えてみるとよくわかります。

 多様化戦略が用いられている一番有名な分野は、「投資」です。たとえば、自分の持っている資金をすべて一つの会社の株式に投資してしまうとしましょう。この場合、マーケットの環境が変わると、その会社の株価が大幅に下がって、大きな損失を被ることがあります。全額を一つの銘柄に投資してしまうことは、儲かったときの利益は大きくなりますが、リスクも大きくなります。

 そこで、リスクヘッジ(リスクを減らす)戦略として用いられているのが、多様な銘柄、多様な金融商品に分散して投資する方法です。一つの国の金融商品だけではなく、多様な国の金融商品に投資する場合もあります。


 多様な金融商品に投資しておけば、マーケットの環境が変わって、ある保有株の株価が下がったときにも、別の金融商品の価格が上がっていて、損失をカバーできる可能性が高まります。たとえば、円安で株価が上がりやすい会社の株式と、円高で株価が上がりやすい会社の株式を、共に保有していれば、円安にふれても、円安にふれても、どちらかがカバーしてくれるので、リスクを減らすことができます。

 ポートフォリオ(保有金融商品の構成)を多様化させておくと、リスクをヘッジできる可能性が高まるのです。




 同様に、心の中のを多様化させておくと、環境が変わったときにも、リスクをうまく吸収して、ショックを和らげられる可能性が高まります。

 たとえば、いろいろなことに興味を持っている人は、一つの分野でつまずいても、そのことだけで過度に落ち込まないで、別の分野のことでカバーできることがあります。

 会社を取り巻く環境が変わって、急にリストラされてしまったときにも、会社の仕事だけに集中していた人は、ショックが大きくなりますが、多様な能力や資格を持っている人は、リストラ危機のショックを多少は和らげることも可能です。社内外に多様な人脈を築いている人なら、まわりの人に助けてもらえるかもしれません。


 つまり、多様化させておくことは、予期せぬ環境の変化が起こったときのリスクヘッジにつながるのです。金融ポートフォリオを多様化させるのと同じように、心のポートフォリオも多様化させておくと、ストレスのヘッジになります。






 2 多様化戦略にもリスクはある



 「多様性(ダイバーシティ)」戦略にも、リスクはあります。

 金融投資の分野でも、資金がある人は、多様な金融商品に投資する国際分散投資が可能ですが、手持ち資金の少ない人は、多様な商品を買うことはできません。無理に多様な商品を買おうとすれば、資金ショートで破綻してしまうこともあります。

 ビジネス分野でも、「選択と集中」という言葉があるように、多くのことに投資する余裕のない場合には、得意分野を選択して集中投資していく戦略がとられます。

 つまり、多様化戦略は、余裕のあるときに将来に備えて行っておく戦略で、余裕のないときには行うべき戦略ではありません。



 メンタルヘルス戦略においても、心に多少余裕があるときに、新たなことにチャレンジしたり、趣味を増やしたりして、心を多様化させて、将来の変化に備えておくことが大切です。

 しかし、すでに緊急事態になっているような人、疲れきってエネルギーがなくなっている人は、現時点では多様化戦略をとるべきではありません。



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