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職場のメンタルヘルス
著:
『プラントエンジニア』誌 2011年3月号掲載


<連載 第12回>
「復職時」のマネジメント と 自分自身のケア


復職時には、職務能力の回復を支援する
復職時のチーム・マネジメントも重要
元気に働くことが、組織への貢献になる


復職時には、職務能力の回復を支援する

 前回は休職中の部下への対応法について述べました。今回は、部下が休職を終えて復職したときの対応法を見ていきます。

 復職した当初は、まだ病気が十分に治っていないことが多いですから、残業免除など健康面への配慮をしていくことが重要です。
 と同時に、部署の業績に一定の責任を負っている管理職としては、次の2点も考えていかなければなりません。

 1つは、復職者の職務能力の回復を支援し、パフォーマンスを一定以上に高めてもらうこと。もう1つは、職場の人間関係を調整し、チームとしてのパフォーマンスを高めていくことです。

 復職については、「職場復帰」という言葉が使われることによって誤解が生まれてしまっている面がありますが、海外では「return to work」や「return to duty」と呼ばれているものであり、本来は「職場(場所)に戻ること」ではなく、「職務(任務)に戻ること」を意味しています。

 医療機関や産業保健スタッフの場合は、職場という場所に戻るまでの「職場復帰」を支援することが主な役割となりますが、管理職の場合は、職場に戻って以降の「職務復帰」を支援することが重要な役割となります。

 職務(任務)にスムーズに復帰してもらうためには、段階的に職務を与えて、職務能力の回復を支援していくことが有効とされています。

 当初は、急ぎの仕事、危険作業、高度な判断力を要する仕事、クレーム対応などの負荷の高い仕事は免除し、負荷の軽い定型業務、軽作業などから与えていきます。
 負荷の軽い仕事が見当たらない場合は、仕事の量や責任の範囲を軽減する方法もあります。何か月かかけて、少しずつ通常レベルの職務に戻していきます。

 復職者本人とよく話し合い、職務内容について、3〜5段階程度のステップを設定して、どの段階まで進んでいるかを確認しながら進めていくと効果的とされています。

 忘れられがちなのは、「教育・研修」です。休職前には高いレベルでこなせていた職務でも、長期間の休職中に職務能力が低下してしまっている可能性もありますから、再研修は職務能力回復のための有効なサポートとなります。若手社員など、元々のスキルがあまり高くない部下に対しての再教育・再研修も不可欠と考えられます。



復職時のチーム・マネジメントも重要

 チームとしての業績を高めるためには、復職時に、対立や孤立化が起こらないようにするなど、チーム・マネジメントも重要となります。

 まずは、管理職自身が復職者との人間関係を再構築し、復職者にとって「頼れる存在」になっておくことから始めると良いでしょう。

 復職した当日には、「○○さんが戻ってきてくれて、よかった」など、歓迎の意を伝えます。些細なことに思えますが、歓迎の意を伝えるか伝えないかで、復職者の心理状態が違ってきます。

 翌日以降は、「今日は調子はどう?」とこまめに声をかけるなど、コミュニケーションを増やしていくと、人間関係が深まっていきます。

 復職者に「この上司の下でなら、頑張ってみたい」と、モチベーションを高めてもらうことが重要です。

 部下どうしの人間関係にも気を配らなければなりません。

 復職者以外の部下に、復職への理解を求めるとともに、復職者を受け入れるに当たって「負担に感じることがあったらいつでも言って欲しい」と伝えておくことも重要です。復職者の職務を他の部下に部分的に代行させる場合には、不満や不公平感が生じることがありますから、部下たちの不満をよく聞いてあげることも大切です。

 また、ときには、復職者と他の部下に共同で仕事をさせる機会を与えるなど、お互いにチームの一員であることを自覚してもらうような工夫も有効です。

 難しい課題ですが、復職者を排除することなく、また、復職者の側にも歩み寄ってもらって、チームづくりを進めていくことが大切です。



元気に働くことが、組織への貢献になる

 復職支援のマネジメントは、管理職にとっては非常に難しいマネジメントの一つであり、対応時の心理的負荷はかなり大きいだろうと思います。

 部下のサポートをすることはもちろん大切ですが、自分が連鎖的に不調にならないように、自分自身のケアをしていくことも大切です。

 メンタルヘルス対応においては管理職の対応がカギを握っていると言われていますが、メンタルヘルス対応に限らず、昨今は、企業経営における管理職層の重要性があらためて認識され始めています。

 これまで中間層を減らしてフラット化させてきた組織を見直して、ミドル・マネジメント層を強化しようという動きも出てきています。ミドル・マネジメントが強くなければ、組織は強くならないと考えられるようになってきたためです。

 ミドル・マネジメントが強くなるには、ミドル・マネジメントが「元気である」ことが大前提です。
 ストレスに負けずに元気に働くことができれば、そのこと自体が組織を強くすることに貢献していると言えるのではないでしょうか。

 今回で連載の最終回となりますが、読者の皆様が、そして、皆様の部下が、ストレスに負けずに、ますます元気に働けますようお祈りしております。一年間、お読みいただき、大変ありがとうございました。

『プラントエンジニア』誌 2011年3月号掲載
 <スキャンpdf版はこちら>
*若干内容が異なることがあります。

メンタルヘルス対応法の詳細は、当社共同監修ビデオ等をご覧下さい。
休職中・休職明けの対応(海外では「アブセンス・マネジメント」などと呼ばれています)についても解説しています。


「メンタルヘルスケア」実践のポイント(PHP研究所 発行)
監修:野原蓉子(日本産業カウンセリングセンター理事長)
監修:加藤貴之(メンティグループ代表取締役コンサルタント)


ビデオの一部を視聴する (6分16秒)
→ PHP研究所サイトへ

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[ 職場のメンタルヘルス ]

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