
ストレスは、おおむね正規分布をしていた
ストレスの推移を見る際に、「平均値」の推移だけでは見えてこない点もあります。ここでは、ヒストグラム(度数分布図)で、ストレスの分布の状況を確認してみました。
チェック者全体(学生版を除く約125万人分)のストレス分布は、次のようになっていました。
ヒストグラムをライン化してみると、おおむね、釣り鐘型の正規分布をしていました。山の頂点はやや右側に寄っていました。

10年間で、ストレスはこのように変わった
上記のグラフのように、10年間トータルではおおむね正規分布をしていましたが、ストレスの分布は10年間でかなり変化をしていました。
大きく変わったのは、リーマンショック(2008年9月)後です。リーマンショックによって、多くの人のストレス度が一段階くらい上昇しました。ヒストグラムの山が右にズレたような状態になっていました。
「高ストレス者」も増えましたので、特にケアが必要とされていた時期です。
警察庁のデータによれば、リーマンショックが起こった直後の2008年10月には、自殺者が目立って増加しています。また、2009年は2008年より自殺率が高まりました。こうしたデータとも整合していますが、リーマンショック後には高ストレス者がかなり増えていたようです。
リーマンショックの影響がおさまり、株価が上昇し始めてからは、ストレスの分布が変わりました。(株価とストレスの連動性については、
こちら をご覧下さい。)
株価上昇後に、ストレスの平均値は下がりました。ただ、残念ながら、「高ストレス者」の割合はほとんど減っていません。「中ストレス者」が減って、「低ストレス者」が増えたことが平均値を下げたようです。
全体の平均値が下がったことはすばらしいことですが、高ストレス者はほとんど減っていませんので、引き続き、メンタルヘルス対策などによる高ストレス者のケアが重要なテーマと言えます。

10年間の分布の変化
10年間でストレスの分布は以下のように変化しました。
近年は、ストレスが高めの人が減り、低めの人が増えることによって、全体の平均値が下がっているようです。
ただし、上記のグラフのデータは年代構成比の調整をしていないため、年代構成比によるバイアスがかかっている可能性があります。
年代別の平均値の変化は、以下のようになっていました。
リーマンショック後の2009年頃にストレスが高まり、2013年頃からストレスが低下し始めた傾向は、各年代にほぼ共通することでしたが、分布に関しては、年代構成比の変化に影響を受けている可能性があります。
PC版のストレスチェック後のアンケートにご協力いただいた方(約14万人)の、年別の構成比は以下のようになっていました。
2013年頃から、年代の高い方の割合がやや多くなっていました。若い方を中心に、スマホ版のご利用が増えたため、PC版のチェックは年代の高い方の割合が上昇したようです。