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職場のメンタルヘルス
著:
『プラントエンジニア』誌 2011年1月号掲載


<連載 第10回>
部下の不調に気づいたときの管理職の対応法


「いつもと違う」点に気をつける
話し合いの場を持って、心配していることを伝える
早期に医療機関の受診を勧める
職場でできることは確実に行う


「いつもと違う」点に気をつける

 前回までは、ストレスや不調を予防するためのマネジメントについて述べてきました。職場においては、不調を未然に予防することが最も望ましいことです。しかしながら、どれだけ適切に予防策を行っていたとしても、不調者が出てくることはあります。

 厚生労働省研究班の調査では、製造業のメンタルヘルス不調による長期休業者(1か月以上の休業者)の割合は、従業員の約0.37〜0.79%という結果が出ています。

 この数値を元にすれば、製造業の場合は、どの職場でも120〜270人に1人くらいは、メンタルヘルス不調による長期休業者が出てくる可能性が高いということです。

 それでも、不調が深刻化する前に早期に発見して適切な対応をすれば、長期休業に至らないですむこともあります。本人は自分では不調に気がついていないこともありますから、周囲の者がなるべく早く気づくことが重要です。

 不調に気づくためには、「いつもと違う」点に注目することです。例えば、以下のような様子があれば、不調の可能性もあります。

遅刻や欠勤が増えた
仕事や作業が遅れるようになった
口数が少なくなった
昼休みに一人で過ごしていることが多くなった
持ち場や席を離れている時間が長くなった
いつもより疲れているように見える
以前と違って急に感情的になることがある



話し合いの場を持って、心配していることを伝える

 「いつもと違う」点に気づいたら、管理職は部下との話し合いの場を持つことが重要です。話し合いの場では、心配している気持ちを伝えることから始めると、話に入りやすいと思います。

「いつもの○○くんと違っているように見えたんで、心配になってね。ちょっと話を聞いてみようかと思って」


 そのあとに、すぐに体調の確認をするかどうかは、普段との違いの程度によります。いつもと大幅に違っている様子であれば、すぐに体調の話に入ったほうが良いでしょう。心の不調かもしれませんが、「体のこと」について聞いていったほうが相手は話しやすくなります。

「つらそうに見えるんだけど、体は大丈夫?」

「体調はどう?」


 心配していることを伝えて、丁寧に話を聞いていきます。

 一方、いつもとの違いが「ちょっとした違い」程度であれば、仕事のことから聞いていったほうが相手は話しやすくなります。

「もし、何か仕事がやりにくくなっているようなら、聞かせてもらいたいんだが・・・」

「仕事のことで、何か困っていること、ある? あったら教えてほしいんだけど・・・」


 こうして仕事のことを聞いていくと、仕事面での課題や問題点が見つかることがあります。一通り仕事のことを聞いたうえで、

「ところで、体調は大丈夫? 体調のこともちょっと心配になってね」


 と、体調の話題に切り替えてみます。仕事の話で終わらせずに、体調をきちんと確認しておきましょう。



早期に医療機関の受診を勧める

 部下の話をよく聞いたうえで、不調の疑いが拭えない場合には、医療機関の受診を勧めることが必要です。

「一度、お医者さんに診てもらったらどうだろうか? 診てもらって、何でもなければ、安心できるだろうし」


 などと勧めて、早めに医療機関の受診をしてもらいます。受診が遅れ、不調が深刻化すると、本人の負担も大きいですし、職場で対応する管理職や同僚の負担も大きくなってしまいます。

 どのように医療機関を勧めるかは、会社の制度や会社で決められた手順によって異なってきます。産業医に診てもらう、会社指定医に診てもらう、外部の医療機関を勧めるなど、様々なやり方があります。受診の勧め方がわからないときには、人事部門や健康管理室に相談してみましょう。

 自分一人で対応しようとしないで、人事部門を自分自身の「ヘルプライン」だと思って、何かあればすぐに相談するようにすると、より適切な対応ができるはずです。

 メンタルヘルス不調者への対応は、管理職にとっては、かなり負担のかかる仕事になりますから、自分の負担を軽減するためにも、人事部門に助けてもらいましょう。



職場でできることは確実に行う

 医療機関で受診をしてもらった後は、病気の治療に関しては、医師に対応を任せます。しかし、職場内に不調のきっかけがある場合には、その点の改善については、管理職の仕事となります。

 とりわけ、過重労働やハラスメント(嫌がらせやいじめ)などの問題は、法律的にもリスクのある問題ですから、これらの問題が見つかった場合は、きちんと対応しておくことが不可欠です。

 不調を発見した場合の基本的な考え方としては、病気のケアについては、早く医療機関につないで、医師に対応を任せる。その一方で、職場内の要因については職場で着実に改善していく。

 こうした「役割分担」の考え方が、管理職にとって、一番リスクの少ない対応法となります。

『プラントエンジニア』誌 2011年1月号掲載
 <スキャンpdf版はこちら>
*若干内容が異なることがあります。

メンタルヘルス対応法の詳細は、当社共同監修ビデオ等をご覧下さい。


「メンタルヘルスケア」実践のポイント(PHP研究所 発行)
監修:野原蓉子(日本産業カウンセリングセンター理事長)
監修:加藤貴之(メンティグループ代表取締役コンサルタント)


ビデオの一部を視聴する (6分16秒)
→ PHP研究所サイトへ

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