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職場のリスク・マネジメント


図解 職場のパワハラ(パワーハラスメント)とは?

 官公庁・企業様からご依頼いただいた管理職・職員向け研修内容から、図を交えて、ポイントを絞って解説します。


職場のパワハラとは?

 まずは、パワハラ(パワーハラスメント)の定義から見てみましょう。確定的な定義はありませんが、厚生労働省では次のような定義を提言しています。

職場のパワーハラスメント の定義例

同じ職場で働く者に対して
職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に
業務の適正な範囲を超えて
精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為

(厚生労働省ワーキンググループ提言より)

 <2つのポイント>

 重要なのは、「業務の適正な範囲を超えて」という部分です。

 業務の適正な範囲内であれば、パワハラには該当しませんが、適正な範囲を超えると、パワハラに該当すると判断される可能性が高くなります。

 この部分には、2つのポイントがあります。

 1つは、「目的」。もう1つは、「手段」です。
 「目的」と「手段」の双方を業務の適正な範囲内にする必要があります。


 <目的の逸脱>

「職場から追い出してやろう」
「生意気な奴だ。つぶしてやろう」

 こういった意図を持って行われた言動は、「目的」が業務の適正な範囲内を逸脱していますので、パワハラと判断される可能性が高くなります。

 <手段の逸脱>

 次は、「目的」自体は適正な範囲内だけれども、「手段」が適正な範囲を逸脱しているケースです。

 たとえば、
「部下の業務を改善したい」
「部下を指導して成長させたい」
「業績を上げたい」
 これらの意図をもって行われた言動は、目的は適正です。

 しかし、「目的」が間違っていないからと言って、どんな「手段」を使ってもよいわけではありません。「暴力を使ってでも、部下に業績を上げさせる」という指導が正しい指導法だとは誰も思わないはずです。
 「手段も適正な範囲内で行いましょう」というのがパワハラ防止の基本的な考え方です。

 <防止のポイント: どんな手段を選ぶか?>

 多くの指導・叱責は、「会社の業績を上げたい」「部門の業績を上げたい」という、業務目的によって行われています。しかし、手段が行き過ぎてしまってしまうと、適切な言動とは言えなくなります。
 実態に即して言えば、パワハラの多くのケースは、「手段の選択」の問題です。

 A、B、C、Dのマネジメント手段があるときに、どの手段を選ぶでしょうか。


 欧米の安全・事故防止分野には、ニール・ジョンストンの「置き換えテスト」という考え方があります。

参考:ジョンストンの置き換えテスト

 たとえば、ある飛行機事故が起こったとします。緊急事態への対処法として、A、B、C、Dの手段があるうち、事故機のパイロットは「C」を選んだとします。

 そのパイロットと「同程度の知識・経験を持ち、同程度の役職にある、別のパイロット」に置き換えます。仮に別のパイロットが操縦していたとします。それらのパイロットが、同じ状況において「A」や「B」を選んだとすると、「別の方法があり、別の方法をとることができたはず」と判断されます。

 しかし、どのパイロットも、その状況では「C」を選んだとすると、「Cを選んだのはやむを得ないことであり、他にとりうる方法はなかった。したがって、パイロットには責任がないかパイロットの責任は割合は低い」と判断されます。

 パワハラも同じように判断できます。同じくらいの知識・経験を持った管理職に置き換えてみます。その管理職の人も、同じ状況で、同じ手段を選択したでしょうか。他の手段をとることはなかったでしょうか。

 そうした点が、一つの判断ポイントになります。

 たとえば、危険作業現場、医療現場など、高い安全が求められる分野では、安全を脅かすことをした人に対して、監督者が暴言を吐いて怒鳴りつけることがあります。他の監督者に聞いてみたときに、他の監督者も、「安全を守るためなら、自分もそのくらいのきつい言葉で怒鳴るだろう」というケースにおいては、暴言という事実だけでは、パワハラとは判断されなくなります。言葉は不適切だったかもしれないけれども、安全が優先された、という考え方です。

 職場のパワハラには、様々な経緯、状況があるため、形式的な事実だけでは判断が難しい面もありますが、「他の手段をとることができたかどうか」は一つのポイントとなります。

パワハラの6つのタイプ

 厚生労働省の提言では、6類型が呈示されています。セクハラ、マタハラなどが重なり合っているパワハラや、6類型以外のパワハラもあります。

 当サイトに寄せられたパワハラ関連の相談も、だいたい6類型に当てはまりますので、 で例示しています。

 各ケースについて、「目的」と「手段」の2点から見てどうなのか、を考えていただくといいでしょう。

1.身体的な攻撃

暴行、傷害

(例)
職場での言葉と実際の暴力に悩んでいます
2.精神的な攻撃

脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言

(例)
職場で給料泥棒と言われ、とてもつらいです
ノルマに追われ、回りからひどいことを言われます
3.人間関係からの切り離し

隔離、仲間外し、無視

(例)
上司に無視され続けたのは私が悪かったせいでしょうか?
4.過大な要求

業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

(例)
仕事が多い上に、上司のパワハラで毎日灰色です
5.過小な要求

業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと

(例)
任務に従って問題点を指摘したら配置換えになりました
6.個の侵害

私的なことに過度に立ち入ること

(例)
上司の暴言に傷つけられています

(類型:厚生労働省提言より。図:shutterstockをもとに著者作成)


 サイト内の相談検索は、こちらにキーワードを入れてください。
(キーワード例:パワハラ、セクハラ・・・)


正当な職務命令は、相手が不快でも、パワハラではない

 一番誤解されているのは、「本人が不快に思うことは、すべてハラスメント」という考え方です。

 これは、セクハラと混同されてしまっていることによる誤解です。

 セクハラとパワハラの違いについては、「目的」と「手段」の2点で考えてもらうといいでしょう。

 セクハラというのは、そもそも「目的」が業務目的ではなく、個人的な目的です。目的が「業務の適正な範囲を超えて」いますので、その時点で、どんな言動であっても、職場においては「する必要のないこと」の範疇に入ります。業務上「する必要のないこと」をして、相手が不快に感じているわけですから、「不快に思うことは、すべてハラスメント」と受け取られても仕方がありません。

 一方、パワハラのほうは、業務と密接に関わっています。

 業務の中には、誰もがやりたくない不快な業務もあります。しかし、誰かにやってもらわなければなりません。また、人事異動も自分の思い通りには行きません。不満や不快感が生じることはいくらでもあります。

 たとえば、上司の命令で仕事のやり方を変えさせられたとします。「私は長年このやり方でやってきた。このやり方で、まったく問題はなかった。上司のパワーを背景に、無理やりやり方を変えさせられた。非常に不快に感じた。これはパワハラである」と主張したとしても、それがパワハラと認められるとは限りません。

 上司は、部門やチームの業績を上げる責任を負っています。部門やチームの運営上、ある人に仕事のやり方を変えてもらわなければならないことはありえます。それが、「目的」「手段」の両面において、「業務の適正な範囲内」であれば、部下がいかに不快感を持とうとも、それは「正当な職務命令」です。

 部下としては、どんなに不快なことであっても、正当な職務命令には従わなければなりません。個人の感情は優先されません。

上司が萎縮してしまうと、パワハラ防止は、逆効果になる

 パワハラ防止の取り組みをすると、「何でもパワハラと言われるのではないか」と思って、上司が萎縮してしまうケースがあります。

 それは、パワハラについて正しく理解されていないことによる、誤解から生じている可能性があります。

 パワハラ防止の目的は、「働きやすい職場をつくり、職場を活性化すること」です。

 働く人の誰もが、不当な権利侵害からは保護されなければなりませんが、上司が萎縮してしまって必要な指示すらも出しにくくなると、パワハラ防止対策が「組織の活性化」にとって逆効果になりかねません。

 職場組織は、リーダーが指示をして、フォロワーが従うことで成り立っています。その点は、社会的な共通理解であり、また就業規則にも何らかの表記がされているはずです。リーダーとフォロワーがそれぞれの役割を果たすことで、組織はより活性化します。

 上司には上司の役割があります。部下には部下の役割があります。「正当な職務命令」であれば、部下が不快に思おうと、どう思おうと、上司には命令を下す権限があります。上司は部下に「やれ!」と言ってかまいません。

 ただし、権限はあるとしても、可能であれば部下に納得してやってもらったほうが、無理やりやってもらうよりも、成果は出やすいはずです。その点は、上司の判断次第、工夫次第と言えます。

 そのあたりのさじ加減が、パワハラ問題は「リーダーシップの問題」と考えられているゆえんです。


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