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徹底分析! 10年間のストレスチェック分析


組織では「ストレスのトリクルダウン」が起こる



 <目次>
「株価」がなぜ「ストレス」に影響するのか?
1.経済環境が経営者・管理職のストレスに影響
2.ストレスでマネジメントが変化する
3.経済環境でマネジメントは変化する
4.リソース(資源)不足がストレスを生むメカニズム
5.ピラミッド構造が組織内にストレスを広げる
マネジメントの変化が、職場にストレスを生む


「株価」がなぜストレスに影響するのか?

 なぜ、株価がストレスに大きく影響するのでしょうか。

 日本証券業協会のデータ(2015年 証券投資に関する全国調査)では、株式を保有している人は、12.7%となっています。株を保有していない人のほうが圧倒的に多いわけですから、直接的に株価の影響を受けているというよりも、間接的に影響を受けている可能性が高いと考えられます。

 株価とストレスの関係を詳細に調べてみると、社会人の中では、「有職者」は株価と高い連動性を示していたのに対して、「無職者」「主婦」は、株価との連動がほとんど見られませんでした。また、「有職者」の中では、会社員 > 公務員 > 学校法人職員 > 医療法人職員 のような順で、株価連動が高くなっていました。詳しくは、こちら

 これらのことから、「職場」が、大きく関係しているのではないかと思われます。

 そこで、「株価」と「ストレス」の間に、「職場」というものが介在していると想定してみます。


 手がかりの一つは、リーマンショック後のアメリカの経済誌の報道に見ることができます。リーマンショック後に、アメリカの職場では「マイクロマネジメント(細かい管理)」や「コントロール・フリーク」が増えたとして、何度か取り上げられています。

 業績が低下した企業では、マネージャーたちが部下への締め付けを強化し、微に入り細に入り、部下の仕事をチェックして、細かくコントロールしようとしました。部下たちはそのストレスに苦しめられたようです。

 経済状態が悪くなると、マネジメントが大きく変わり、働く人のストレスに影響していることが推察されます。

 ここでは、「経済環境の変化→経営者・管理職のストレス増加→マネジメントの変化(悪化)→部下のストレス増加」という仮説を立てて、検証をしてみます。


1.経済環境が経営者・管理職のストレスに影響に影響しているのか

 当ストレスチェックでは、職務上の地位のデータは取得しておりません。そこで、年代データによって代替します。多くの職場では、40代、50代は経営層、管理職層と考えられますので、この年代のストレスを中心に調べてみます。

 年代別に、10年間の推移を確認してみると、リーマンショック後の2009年には、50代以上のストレスが高くなっていたことがわかりました。50代が突き上げるような形で、40代、30代、20代もストレスが高くなっていました。(グラフでわかるように「年代の低い人のほうがストレスが高い」という傾向は、10年間常に見られました)



 40代、50代は、「業績」に責任を負っている立場です。経済環境が悪化すると、業績悪化懸念が出てきて、ストレスが強まっている可能性があります。

 また、2009年は、リストラの嵐が吹き荒れた年でもありました。東京商工リサーチのデータでは、2009年は突出して、希望・早期退職者募集が増大しています。

 リストラの対象となるのは、主に50代、40代です。この世代は、リストラが始まると非常に大きなリスクにさらされます。業績に責任を負っているだけでなく、リストラの不安も加わって、なおさらストレスが高まっていたのではないかと考えられます。


 次に、このグラフに株価(年初終値)を重ね合わせてみます。逆相関の関係ですから、株価は反転させています。



 グラフを見ると、年代の高い人たちは、ストレスが、株価と連動した動きになっていることがわかります。

 相関係数を調べてみると、下記のようになっていました。

10代
ストレス
20代
ストレス
30代
ストレス
40代
ストレス
50代以上
ストレス
「日経平均」との相関係数-0.50
 
-0.60
 
-0.79
**
-0.78
**
-0.79
**
 (50代以上の人の中には「リタイアして仕事を離れている人」も含まれています)


 若い人よりも、年代の高い人のほうが、株価とストレスの相関が強くなっています。株価の下落は、年代の高い層のストレスを高めているようです。


2.ストレスでマネジメントが変化する

 年代の高い層が、経済環境の変化で大きなストレスを受けることが確認できましたので、次に、ストレスによってマネジメントが変化するのかどうかを見てみます。

 当サイトでは、「職場のストレス要因チェックテスト」を2008年より提供しています。英国安全衛生庁の基準に基づいて「上司による支援」、「仕事の裁量・自由度」など、マネジメント指標45項目を調査していますので、このデータ(約4万件)を使用します。

 「ストレス」と「職場マネジメント指標」の関係は、以下のようになっていました。

20代
ストレス
30代
ストレス
40代
ストレス
50代以上
ストレス
「上司による支援」との相関係数-0.29
 
-0.65
 
-0.66
 
-0.74
*
「仕事の裁量・自由度」との相関係数-0.40
 
-0.70
 
-0.65
 
-0.73
*


 「上司による支援」と「仕事の裁量・自由度」が、一番相関していたのは、50代以上のストレスでした。

 50代以上の人は、主として、部下に支援を与える立場であり、部下に裁量・自由度を与える立場です。

 上記の相関係数からわかることは、50代以上の人のストレスが高いときには、職場における部下支援が減っているということです。また、部下に対して裁量・自由度を付与することも減っています。つまり、ストレスが高いときには、部下に対する管理や締め付けを強化しているということです。


 一般的に、ストレスを抱えているときには、自分のことで手一杯になり、余裕をなくします。他人のことを気にかけていられなくなります。その結果、他人に対する支援ができなくなっていたのではないかと考えられます。


3.経済環境でマネジメントが変化する

 実際に、経済環境が変化したことによってマネジメント・スタイルが変わったのかどうかを確認してみます。

 下記のグラフは、各指標の経年変化です。



 2008年から2012年まではほぼ横ばいでしたが、アベノミクスが始まって、株価が上昇し始めた2013年からは、いずれの指標も大幅に改善されています。「上司からの支援」が増え、「同僚からの支援」が増え、「人間関係」が良くなり、「仕事の裁量・自由度」が増えています。

 相関係数は以下のようになっていました。

上司からの支援同僚からの支援人間関係の良さ仕事の裁量・自由度
「日経平均」との相関係数0.75
*
0.75
*
0.70
 
0.79
*


 株価の上昇に連動して、「上司からの支援」、「同僚からの支援」「人間関係の良さ」「仕事の裁量・自由度」の指標が好転することがわかりました。


4.リソース(資源)不足がストレスを生むメカニズム

 ストレスの研究者ホブフォルは、次のような、「COR理論」を提示しています。

 COR理論

 資源不足がストレスになるという考え方。職場においては、「ヒト」「カネ」「モノ」「時間」などの主要資源のほか、「上司の支援」「良好な人間関係」なども、心理的資源となる。「裁量・自由度」「情報・ノウハウ」なども資源となる。こうした資源が不足しているときに、ストレスが増大する。

 COR理論に基づけば、「経済環境の悪化→会社の資源減少→経営者・管理職のストレス増加→部下への支援低下→部下の資源減少→部下のストレス増加」という構図を想定できます。

 一言で言えば、経済環境が悪化すると、会社も個人も「余裕(余剰資源)」がなくなるということです。
 その結果としてストレスが高まっていると推測されます。


5.ピラミッド構造が組織内にストレスを広げる

 組織というのは、「上司と部下」の単純な一重構造ではなく、「経営層→中間管理職→一般社員」というピラミッド型の多重構造になっています。ピラミッドの中で、どのようになっているのかを推測してみます。

 組織論の中に、不適切なリーダーシップの「トリクルダウン・モデル」というものがあります(モーリッツ、2012)。不祥事の研究から出てきたものですが、組織ピラミッドの中では、不適切な指導監督が、「幹部」→「中間管理職」→「部下」へと、したたり落ちていくというものです。

 この「トリクルダウン・モデル」を参考にすれば、経済環境悪化時には、組織内で「ストレスのトリクルダウン」現象が生じていたのではないかと考えられます。

 まとめてみると、下図のような状態です。



 経済環境が悪化すると、まず経営者に大きな重圧(ストレス)がかかります。経営者は業績を上げるために、中間管理職への管理を強めたり、強くプレッシャーをかけたりします。中間管理職は、経営者からのプレッシャーを受けて、部下たちへの管理を強めたり、強くプレッシャーをかけたりします。

 こうして、下へ下へとストレスがしたたり落ちていくと、職場全体がストレスフルな環境になっていきます。

 リーマンショック以降の経済環境の悪化は、上位者にストレスを与え、組織内で「ストレスのトリクル・ダウン」を生んで、職場全体のストレス度を上昇させていた可能性があります。

マネジメントの変化が、職場にストレスを生む

 まとめてみると、次のような構図と言えます。

 株価の変化は、経営者・管理職にストレスを与えてマネジメントの変化を生む。それによって、職場全体がストレスフルな環境になっていく。

 こうした理由によって、株価とストレスが強い連動を示しているのではないかと考えられます。



 株式保有者は全国民の1割強であるにもかかわらず、株価の変動は、まわりまわって多くの国民が影響を受けていることがわかりました。

 少なくとも、ストレス面から見る限り、アベノミクス以降の「株価の上昇」は多くの人のストレスを減らす重要ファクターとなっていました。










 



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